2021-04-04
第26回「紫野高校杯 英語スピーチコンテスト」において、当教室上級クラスに在籍中の大槻喜乃さんが、
出場者560名の中で、見事優勝されました!
おめでとうございます!
更に、紫野高校の新聞局の発行する校内誌に大槻さんの記事が掲載されました。
音読がいかに大切で、英語力をつけるのに不可欠であるかを的確に書いておられます。
生徒の皆さんはもちろん、保護者の皆様もぜひ読んでみて下さい。
【紫野ジャーナル生徒特集】
第 10 号 スピーチコンテスト優勝者に聞く英語の勉強法とは?
今回は、スピーチコンテスト優勝者の大槻喜乃さんに英語勉強法について執筆していただきました。周囲が驚くほどの流暢な英語ですが、もともとは英語が嫌いだったそうです。英語が苦手な人でも、学習法によって上達することを大槻さんの経験から伝えてくれています。ぜひ最後まで読んで見て下さい。
『音読のお話』
~英語が嫌いだった時代~
ありがたいことに、ここ数年私の「英語力」は高く評価してもらえることが増えましたが、英語を勉強し始めてから数年間、私は恐ろしく英語が苦手でした。
毎回頭痛がするほど授業がわかりませんでした。学校で英語の授業が始まる小学5年生の春に両親が英語教室に入れてくれたのですが、教科書の日本語の説明を読んでも「副詞」の意味すら知らない小学5年生が読んだところで分かるはずもないので、落ちこぼれの私が授業についていくために行ったのは「音読」でした。音読が大切だというのは、誰しも英語の先生から聞いていると思いますが、「何に気を付けて音読をするべきなのか」について具体的かつ一番大事なポイントをお話にならない先生が多いように思います。
私はエキスパートではないので科学的根拠を説明することはできませんが、帰国子女でもハーフでもなく、インターナショナルスクールに通った経験があるわけでもない日本人の私が7年間の音読による英語学習の経験を通して感じたことから、これらの問いに自分なりに答えていこうと思います。
~音読ってなに?~
実は、私は、英語学習における音読の大切さについて、自身のクラスのロングホームルームでも話したことがあります。
そのあと、「音読が大事だっていうから、音読してみることにした」といって、小テストの前に音読をしているとクラスメイトが報告してきたときは本当に嬉しかったのですが、同時に私はふと、音読というものに対して、私とは違う認識をクラスメイトが持ってしまったのではないかという不安を感じました。
「音読が大切だ」ということは確かに伝わっていたようなのですが、ただ闇雲に文章を声に出して読むだけではあまり効果がないということを私は言いそびれたのです。
音読は「読む力」「聞く力」「話す力」「書く力」すべてを底上げするものだと私は考えていますが、「読む力」はさておき、他の3つの能力は、音読の「技術」がなければ得ることは難しいと思っています。音読するにあたって一番大事なこのことが伝わっていないのならば、私が言った内容を真摯に受け止めて音読に励んでも能力が伸び悩む人が続出するに違いないのです。
その技術というのは「自分の声を聞く技術」と「発音・イントネーションの正確さ」です。
~リスニング力は音読をすると高くなる?~
多くの人が、リスニング力を上げるために英語のオーディオを聞くあるいは聞くことを勧められるでしょう。
もちろんそれは大切ですし、継続すれば確実に効果があることは私も実感してきました。
しかし、オーディオを聞く以外にも、リスニング力を高める方法はあるのです。
それが先ほどから申し上げている「音読」なのです。聴力に問題がない限り、音読した時の音声は自分で聞くことができます。
ここで「音読している声を自分で聞く」というのは、ただ「自分の声が耳に入ってくる」ことではなく、自分の声を「言葉として咀嚼できている」状態を指すということをあらかじめお伝えしておきます。
自分の声を、オーディオや他の人が話している音声を同じように聞くのです。英語の音声を聞くとき、私含む多くの人が、内容を理解するために全集中力を注いで「言葉・文章」として音声をキャッチしているでしょう。
自分が音読している音声も、そのようにキャッチしてみてください。そうすれば、目ですでに情報を得てしまっているという欠点はあるものの、英語の音声を聞く頻度が増えるのと同じような効果が得られるのです。不思議な話ですが、文章の内容を知っていても、英語の音声を聞く頻度が増えれば増えるほど、脳は英語の音声になれていくようなのです。音声に慣れれば、精神的にもいい意味で余裕ができます。
そうすれば、「英語が聞き取れない」というところにストレスを感じることが減り、内容を聞くところに神経を注ぐことができると思います。
私はまだ英語を聞き取ることにストレスを感じることが少なからずあり、完全に内容理解に集中できるというような境地には至っていませんが、年々「聞き取る」ことよりも「内容を理解する」ことに向けられるエネルギー量が増えているのは確かです。
~声を発することについて~
ここまでは、自分の声を「聞く」事について話してきましたが、ここからは声を「発する」ところに焦点を当てます。
毎日英語の音声を聞くとはいっても、カタカナ英語を毎日聞いているのでは、いざテストや実践的な場でネイティブの発音を目の前にしても聞き取れる可能性はほぼないでしょう。そこで私は、「自分がオーディオになる」ことが、リスニング力を上げると考えています。
自分がオーディオになる。一体どういうことなのでしょうか。
それは、「自分ができるだけネイティブの発音・イントネーションを身につける」ことです。
ここで「発音のよさ」と聞いただけで、「あぁ私は発音がよくないから駄目だ」と諦める人がたくさんいることは目に見えています。
しかし、ここで誤解しないでいただきたいのは、私が言いたいのは「もともと発音がよいこと」が大切なのではなく、最初はあくまで「発音やイントネーションにセンシティブになる」のが大切であるということです。最終的には「よい発音」を目標とするのですが、そもそも発音・イントネーションに注意深くなければ改善はほとんど見込めないといえます。発音・イントネーションをよくするためには、ネイティブの発音をたくさん聞き、それを完全コピーすることを繰り返す必要がありますが、この作業をしている人はちらほら見ます。
大事なのはその後です。せっかくコピーしたものをその後忘れてしまって、いざ自分から発声するとなると全く違う自己流の発音をしてしまっては、コピーした発音は一生自分のものになりません。数学の問題を解くときも、教科書の例題の解答を見ながらノートにそれを写すのと、問題だけが提示されるテストで問題を解くのとは全く違いますよね。それと同じで、見本があるところでよい発音ができても、自分だけでそれが再現できなければ「発音がよい」とは言えないのです。(ここで「ネイティブ」といっても色々あるじゃないかと思う人がいると思いますが、ここではあくまで「最大公約数的」な正しい発音のことを、「ネイティブ」の発音と呼ぶこととします。)とにかく、そういった練習を繰り返すことで自分がよい発音を身につけることができれば、音読する度によい発音の英語が聞けるわけですから、よい発音の英語に耳が慣れるようになると考えられます。
よい発音を身につけることは、ただ単に他人が自分の英語を聞き取りやすくなるわけではなく、「音読」の精度そのものを飛躍的にアップさせるものなのです。
発音に注意深くなると、次第にスペルと発音の繋がりにも敏感になるので、単語を覚える速度も急激に上がって「書く力」を全体的に底上げします。
もちろん、発音がよくなれば話す相手も自分の英語をより聞き取りやすくなりますし、音読を続けることで聞いたことのある英語を再現する力がつくという意味では「話す力」も伸びるでしょう。「聞く力」の向上は、もう言うまでもありません。
~まとめ~
ここで初めの問いに戻ってみましょう。英語、いや、言語を学習するにあたって「何に気を付けて音読するべきなのか」。
私はこの質問に対して「自分の音声をオーディオとして聞く」ことと「ネイティブの発音・イントネーションを忠実に再現しようとする」こと、と回答します。英語学習に壁を感じている人は、今一度、自分の「音読」学習を見直してみてください。音読の仕方を見直してください。
よい発音は、ただ英語が喋れているように見せかけるためのものではありません。発音の良さはペーパーテストには関係ないだろうと考えている人がいるならば、それは大間違いであることを、この文章を読んで理解していただけたら幸いです。